東海バネ工業株式会社

　「こんなばねを1本だけ欲しいのですが・・・」。こうした顧客の依頼に完全受注生産でばねを供給するのが東海バネ工業株式会社です。

　この会社で製造されるばねには、日ごろ、私たちがよく目にするコイル状のばねから、一見ばねに見えない皿ばねなど、その用途に合わせてさまざまな種類があります。

　この多様なばね作りを支えているのが、この会社の誇る「ばね職人」です。匠の技術で作り出されるばねは、最先端科学の分野でも活躍しています。　特に、発電所などのエネルギー分野や人工衛星、打上ロケットなどの宇宙科学分野に使用されているばねは、職人技と精緻 な加工データを基に作り出され、高度な要望に応えるものとなっています。

　宇宙航空研究開発機構（ JAXA）の人工衛星「あかり」に採用されたばねの製作では、宇宙空間用という前例のない困難なばね作りにプロジェクトチームで挑戦し、絶対零度（マイナス273・15度）の世界で安定動作する、わずか直径3ミリの皿ばねを開発することに成功しました。

　また、平成21年9月に打ち上げられた宇宙ステーション補給機を宇宙まで無事に送り届けた国産ロケットH－ⅡB（試験機）のエンジン部にも同社豊岡神美台工場で生産された皿ばねが採用されました。遠く宇宙でも豊岡産のばねが活躍しています。

　豊岡神美台工場では、ばねができるまでの様子を見学することができます。「ばね職人」の匠の技と最先端の製造技術を一度見てみませんか。

（この記事は、２０１１年１月２５日発行の「広報とよおか」に掲載されたものです。）